番外編-金魚のジョン

 先日、友人から金魚を飼い始めたことを聞きました。餌を与えようとすると、その金魚が近づいてくるそうです。そんな話をしている内に、私がホームスティしていたホストファミリーも、金魚を飼っていたことを思い出しました。この話は、金魚のジョンの話です。

 金魚のジョンも人が近づいてくると餌をもらえることを知っていて、寄って来ました。そんなジョンを見て、私は愛着が湧いてきました。とっても可愛い金魚でした。ホストファーザー(おっちゃん)のスティーブは、よく水を換え、金魚の水槽を洗っていました。興味深く、私がおっちゃんのすることを見ていましたが、不思議な行動に気が付きました。水槽の下にある小石を洗う時に、ざるに入れて水洗いをしていました。良く見ると、そのざるは、普段スパゲッティを茹でた後に使用するざるでした。「あっ!」と思い、おっちゃんに「それは、スパゲッティを茹でた時に使っているやつじゃないの?」と聞くと、「そうだよ。それがどうかしたのか?」との返答が返って来ました。以後、スパゲッティを食べるごとに、水槽の小石を洗っているおっちゃんの姿が脳裏に浮かびました。

 そんなある日、その金魚のジョンが死んでしまったのです。とっても可愛かったので、悲しい気持ちになりました。どこか、庭の隅に埋めてあげようと思っていましたが、おっちゃんが、その死んでしまった金魚のジョンを網ですくい、向こうの方へ歩いて行きました。何処に行くのかな? と思いながら後をついて行くと、おっちゃんがトイレの中で立っていました。「えっ!」 そのジョンが水槽以外の水の中に居ました。次の瞬間、ジョンは、くるくると回って行ってしまいました。「さよなら」も言わずに・・・。完

By カレブ